「遊びの場としての野外劇」第1部 講義メモ
00:07:23 第1部開始
00:09:54 梅山先生の紹介
ゲンロン上田さんと演劇博物館で同時期に助手をしていた
梅山いつき『アングラ演劇論――叛乱する言葉、偽りの肉体、運動する躰』
梅山いつき『佐藤信と「運動」の演劇: 黒テントとともに歩んだ50年』
両著ともAICT演劇評論賞 受賞
梅山いつき、岡室美奈子『六〇年代演劇再考』
演劇博物館時代の仕事
2008年 早稲田でのシンポジウムの記録
「メンバーが全員集合というか、こんなことが可能なのかという…」(住本)
当時はまだアングラ演劇はアカデミックな研究対象になっていなかった(梅山)
00:14:59 梅山先生の自己紹介
1960年代の「アングラ演劇」と総称される演劇集団とその作品を研究
近年の野外劇のフィールドワークも
野外劇集団「水族館劇場」の制作スタッフとしても活動
上半期は野外劇のシーズンなので、一人でも多くの方に来ていただきたい!(梅山)
00:17:56 イントロダクション
1981年生まれの梅山先生がアングラ演劇に関心を持ったきっかけ
68/71黒色テント『ブランキ殺し上海の春』(1979年)
非劇場空間での演劇活動と同時に、言語活動やポスター制作などの自前のメディア活動を活発に行ったことが60年代アングラ演劇の特徴の一つ
ポスターが広報機能をなしていない(梅山)
00:28:40 全国の野外劇集団
野外劇の3タイプ(テント型、拠点形成型、作品派)
わざわざゼロから設営し、公演が終われば崩すというはかなさが野外劇の美学
野暮にコスパとか考えると…(住本)
苦労しかない、遊びどころじゃない(梅山)
合理性から逸脱した時間、人間関係がある(梅山)
ノイズを苦しみつつ取り込むことで表現が生まれる(梅山)
紅テント建て込みの資料映像
00:35:41 hrchdsk「ちなみにいま会場で流している『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』を監督した大島新さんは、来週ゲンロンカフェにいらっしゃいます」
→ ドキュメンタリーはどこへゆく – ゲンロンカフェ
維新派公演の資料映像
「MAREBITO」(2013年)
上演時間の間で日没や潮の満ち引きを演出に使っている(梅山)
演劇といえば都市の文化というイメージがあるが、野外劇は少し違う?(住本)
芸能のルーツは漂流の民。「移動」「漂う」が野外劇のキーワード(梅山)
00:42:50 若者文化の発信拠点・新宿とアングラ演劇
寺山修司は?(住本)
市街劇はどは野外劇の一種だが、寺山はテント芝居はやっていない(梅山)
60〜70年代初頭にあった都心部都市空間の特殊な状況が野外劇を育んだ
新宿と若者文化にとっての69年
新宿での浄化運動
上演中止要請への対抗としての状況劇場の強行上演、機動隊出動
映画「新宿泥棒日記」(1969年)に登場する紅テント公演の場面の資料映像
00:48:47 hrchdsk「四谷シモンさんの唄めっちゃいい」
アングラ演劇はなぜ白塗りするのか?(住本)
大衆演劇のルーツを意識しているのかも?(梅山)
00:51:03 hrchdsk「特に昔は野外テントのなかは暗いので、顔を白くしないと見えないっていうのもあるかもしれませんね」
00:52:18 消えた「広場」 新宿西口地下広場とフォークゲリラ
69年の2〜7月にだけ出現したムーブメント
自然発生的に毎週土曜午後6時に若者が集まるようになる
最盛期は2000人が集まった
突如「新宿西口地下通路」に改称され、立ち止まることが禁止された
00:57:42 セミ・パブリックな空間
鈴木一誌、大木晴子『1969―新宿西口地下広場』
パブリックな空間にプライベートが持ち込まれ融合していた
劇場法が成立して10年
「ここでは『インターナショナル』を歌ってはいけないんですか?」
01:03:27 ベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)/「公」と「私」の問題、「私」の自立
組織化しないことにこだわっている
60年代に考えられていた政治、ということがよく出ている集団(住本)
野外劇における「ノイズ」とも通底する(梅山)
個々人の欲求や価値観を尊重しながらつながれる公的な空間を(持続的に)成立させることが可能なのか? という問題(梅山)
この時期にできた集団で持続しているものもあるが?(住本)
続いているものは家制度的な感じ…(梅山)
破天荒さを追求した集団は一代で終わっている
01:06:52 テレビのような情報としての広場
東野芳明『虚像の時代 ---東野芳明美術批評選』
流動的で固定化されないはかなさが強烈な力をもつことがある(梅山)
01:07:59 お前はただの現在にすぎない
今野勉、村木良彦、萩元晴彦『お前はただの現在にすぎない テレビになにが可能か 』
「現在」であることが権力に対しての最大の抵抗の形(梅山)
01:08:51 yokochka「空間ではなく時間を占めるテレビ」
01:09:59 みちゆき空間
梅山いつき『佐藤信と「運動」の演劇: 黒テントとともに歩んだ50年』
日本における広場的な空間は一時的に姿を変え、終われば閉じるものだと指摘される(梅山)
逆にヨーロッパには日本の野外劇に近いものはあるのか?(住本)
ヨーロッパは地方も含め住んでいる街に劇場は一つあるという感覚がある(梅山)
劇場文化のあり方が日本では別にあると考えたほうが面白いと思う(梅山)
続き:「遊びの場としての野外劇」第2部 講義メモ